よくある質問と答え

 
Q

多汗症に対する手術療法とは?

A
 
Q

多汗症に対する手術以外の治療法は?

A
 
Q

多汗症の症状にはどんなものがありますか?

A
 
Q

汗にはどんな種類がありますか?

A
 
Q

多汗症手術は保険が効きますか?

A

当院での多汗症手術の費用はすべて保険適応で3割負担の場合、約8~9万円です。片手も両手も同額です。両側手術と片側手術にはそれぞれ長所と短所があるため、当院では原則として両側の同時手術行うか片側だけの手術を行うかは患者様に選択していただいています。クレジットカードも使用可能です。生命保険の手術給付金の対象です(胸腔鏡下交感神経節切除術)。

Q

わきの汗が一番気になるのですが・・・

A

わきの汗はおもに第4~第5胸部交感神経で支配されます。最近の知見では、わきの汗の交感神経は細かい枝分かれ(バイパス)が豊富なため、交感神経を完全に切除することがポイントです。
わきはもともとジメジメした部分ですので、完全には汗が停止しないこともあり、少しは汗が残ることがあります。数年後の再発率も手に比べ高くなります。第4~第5の低位の胸部交感神経ですので、代償性発汗は少ないものの、必ず代償性発汗が出現します。したがって、わきの汗が一番気になり、てのひらの多汗がない方は、交感神経切除術よりも美容整形外科が行うわきの汗腺切除術(ワキガ手術と同様の手術)をお勧めします。わき汗だけの場合は交感神経遮断の適応にはなりません。

Q

てのひらの多汗症手術で足の裏の汗も停止しますか?

A

足の裏の汗は腰部交感神経支配ですが、胸部交感神経遮断でもほぼサラサラになる患者様が1割程度、少し減少する患者様が3~4割程度です。しかし逆に言えば半数以上の患者様で足の裏の汗にはまったく効果がありません。また胸部交感神経遮断後にむしろ足の裏の汗が増加した患者様も7%いらっしゃいました。
足の裏の汗が気になる場合は、開腹もしくは腹腔鏡を用いた腰部交感神経遮断やアルコール注入による腰部交感神経神経ブロックなどの手段がありますが、日本ではほとんど実施されていません。足の汗は塩化アルミニウムローションや汗の吸収性のよい靴下を履くなどなどで対応するしかないと思います。

Q

人前で頭・顔面から汗がふき出て困っています。

A

頭・顔面の汗は第2胸部交感神経で支配されます。高位の交感神経遮断でも顔の汗に対する効果は8割程度で、さらに術後の過剰な代償性発汗は必ず出現するため、手術を後悔される方の頻度が高くなります。したがって頭・顔面多汗に関しては、仕事上きわめてお困りの方のみに限定して手術を行うべきです。
当院では原則として手術は選択せずにまずは抗コリン剤などの内服薬をお勧めしています。それでも手術を希望される患者様には第2と第3の間をクリップで遮断する手術を行っていました。
これまでに当院で顔面多汗症または赤面症でクリップ法による高位の交感神経遮断を行った患者様は約30人でそのうち3人の 患者様は過剰な代償性発汗で手術を後悔し最終的にクリップを除去しました(クリップを除去しても遮断前の状態まで完全に戻るわけではなく、クリップ除去に は癒着や出血などで手術が困難となることもあります)。さらにクリップ法は出血のリスクがあるため、現在は当院ではクリップ法は行っていません。
当院の治療方針としましては、顔面多汗症、赤面症の患者様には交感神経遮断手術はお勧めしておりません。
それでも手術をご希望される患者様には当院では顔面多汗症に対しては第3交感神経を遮断しますが、代償性発汗で後悔しても元には戻りませんので、まずは片側を手術して、その結果、片側の顔の顔面多汗症の効果あり、かつ代償性発汗が許容内であれば十分に経過をみてからさらに反対側の追加手術を慎重に検討します。

Q

片側だけの交感神経遮断も可能ですか?

A

片側だけの交感神経遮断では当然のことながら、片側しかてのひらの汗が停止しませんが、代償性発汗の量は半分で済むため、まずは片方だけ手術を受けてみるという慎重な考え方があります。
手術時間は片側5分、両側10分でいずれも短時間です。片側でも両側でも手術費用は同じですので、片側ずつ2回手術をお受けになる場合は患者様が負担する費用と日数が2倍になります。
両側手術と片側手術にはそれぞれ長所と短所があるため、当院では原則として両側の同時手術行うか片側だけの手術を行うかは患者様に選択していただいています。代償性発汗には個人差があるため、まずは利き手を手術し、代償性発汗の程度を自覚してから、あらためて他方の手の手術を受けるどうかを判断すれば、少なくとも過剰な代償性発汗で後悔するリスクを避けることができます。しかも利き手がサラサラになれば精神的にもリラックスできるため、3割の患者様では反対側の手の汗も減少しています。

Q

赤面症にも効果がありますか?

A

顔面多汗症や赤面症の患者様では高位の第2交感神経を遮断する必要がありますが、赤面症に対する交感神経遮断術の効果は客観的な評価が難しく、有効率は確定しておりません。また、高位の交感神経を遮断すると過剰な代償性発汗が100%出現します。
当院の治療方針としましては、顔面多汗症、赤面症の患者様にはこの手術はお勧めしておりません。
それでも手術をご希望される患者様には当院では赤面症に対しては第3交感神経を遮断しますが、代償性発汗で後悔しても元には戻りませんので、まずは片側を手術して、その結果、赤面症に効果あり、かつ代償性発汗が許容内であれば十分に経過をみてからさらに反対側の追加手術を慎重に検討します。

 

Q

低位(R4)交感神経遮断術では代償性発汗はまったくありませんか?

A

低位(R4)交感神経遮断でも、夏の暑いときや寝汗で背中や胸、ふとももなどからの汗がこれまで以上に必ず増加します。しかし一般的に誰でもマラソンをしたり暑いときは顔などから多量の発汗があります。したがって低位交感神経 遮断を受けた患者様に夏の暑いときなどに体の一部から汗がでるのは正常な反応であり、これらの汗は代償性発汗というよりも反応性発汗という言葉が用いられます。
代償性発汗は高位の交感神経遮断ほど多量に発生し(R2>>R3>R4)、複数の交感神経節を遮断するほど増加します。したがってR4単独遮断が最も代償性発汗が少なくなります。
これまで当院で行ったR4遮断6200例以上の患者様では、ほとんどの患者様が夏の暑いとき以外では背中やふとももの汗はほとんど気にならない程度の発汗量です。国際学会においてもTh4遮断では高度の代償性発汗はほとんどおこらないことが証明されています。
しかし代償性発汗には個人差があります。これまでに私が知りうる限りで少なくとも10人以上(全体の約0.3%)の患者様が、Th4遮断でも自分が予想していた以上に代償性発汗が多かったとの理由で手術を後悔した患者様がおられます。
多汗症手術には代償性発汗というデメリットが100%ありますので、手術の選択はいかに手の汗で長年悩んでおられるかです。

Q

代償性発汗以外の副作用はありますか?

A

味覚性発汗といって辛い物や熱いものを食べたときに顔からの発汗が増加することがあります。Th1神経節(星状神経節と癒合)を遮断するとホルネル症候群(おもな症状は眼瞼下垂:まぶたが下がってしまう状態)がおこりますが、R2遮断やR3遮断でもまれにホルネル症候群の合併症が報告されています。永久的な合併症ですので絶対に避けなければなりませんが、R4神経節は星状神経から離れているため、私が知る限りR4遮断ではホルネル症候群の合併報告はありません(詳しくは2007年国際学会のページ)。交感神経遮断で徐脈になることがまれに報告されていますが、私がこの手術を始めた初期の200例の患者様に手術前、手術後に心電図検査をおこなったところ、どなたも心電図上の変化はありませんでした。しかし徐脈になる心疾患(洞不全症候群など)を合併している患者様では交感神遮断手術は避けるべきと考えます。その他、手術後に多様な不定愁訴(頭痛、顔の紅潮、寒気、気力の低下など)、心因反応?、うつ状態?を訴えた患者様もおられましたが、精神的な要因が強く、手術との直接的な因果関係は不明です。交感神経遮断には代償性発汗など患者様のデメリットになる要素がありますので、患者様に手術前に十分なインフォームドコンセントを行い、治療方針を決定させていただいています。

Q

手のひらの汗の再発はありますか?

A

これまでにR2遮断やR3遮断手術後に神経が再生し再発することが1~5%と報告されており、これまでの私自身の経験での再発率は1~2%ほどでした。R2遮断やR3遮断とR4遮断では再発率に差はなく、当院の15年間のデータ(6800例以上)ではR4遮断後に再発または手の汗が少しでるために、1年~数年後に再手術をお受けになった患者様は96名(全体の1.4%)です。

Q

再発した際にはどのような再手術を行います?

A

R4遮断では手のひらの汗が停止するギリギリの高さですのでTh2遮断やTh3遮断よりも再発率が高くなることが危惧されますが、これまでの当院の経験では再発率は1.4%であり、高位神経遮断の再発率と差はありません。
R4遮断後に再発した場合は再手術でR3を追加遮断します。再手術によ り手のひらの汗は再度減少します。再手術でR3を追加遮断すると代償性発汗も増加しますが、R4遮断で再発した患者様は手の汗が停止する高さがR4 よりも少し高位にあると考えられ、その場合はR3遮断を追加しても顔の汗はきちんと出ることにより代償性発汗の増加は抑えられることになります。
逆に他院でR2もしくはR3遮断を受けて再発した患者様には当院での再手術でR4を追加遮断しています。

Q

高位の交感神経遮断ではどうして代償性発汗が増加するのですか?

A

代償性発汗の詳しいメカニズムは解明されていませんが、視床下部という脳の一部からフィードバック現象で代償性発汗が起こるといわれています。
人間のからだは頭(脳)を第一に守るよう制御されています。マラソンなど激しい運動したときや夏の暑いときにまず最初に顔や頭から汗がでるのは、頭に熱がこもらないようにコントロールされているためです。高位の交感神経とくに第2交感神経を遮断すると頭や顔から汗がまったくでなくなりますので、熱から脳を守るため視床下部からもっと汗を出すように命令がでます(フィードバック現象)。ところがいくら命令がでても顔や頭からは汗がでませんので、少しでも熱を発散するために背中や胸、ふとももなどから汗がでるようになります。しかし頭は熱がこもったままですので、もっと汗をだすように視床下部から命令が出続ける結果、背中などに過剰な代償性発汗が生じることになります。
以上のように頭から汗をだすことはからだのバランスを保つ上で極めて重要なことです。第4交感神経遮断では顔や頭の汗が減少することはほとんどありませんので、過剰な代償性発汗がでることはありません。
しかし第4交感神経遮断でも顔の汗がまったく減少しないわけではなく、代償性発汗は100%の患者様に出現しますので、この手術をお受けになるかどうかは、いかに手のひらの汗で悩んでおられるかです。

Q

小学生の子供が手掌多汗症なのですが・・・

A

お子様の手術は原則として大人の体になってから、具体的には中学生以上でお勧めしています。しかし小学生でも本人が非常に気にしていたり、友達から手をつなぎたくないと言われいじめの対象になっている場合などは手術を行っています。
当院ではこれまでに8歳から78歳の患者様に多汗症手術を行っています。お子様が小さい間は、このままご両親で見守っていて差し上げるのが一番だと思います。

 
Q

手術当日に帰宅して、本当に大丈夫ですか?

A

2007年10月に開院以来、これまでに2万5千例以上の日帰り手術の実績があります。1990年代より痛みが少ない低侵襲の手術法や麻酔法が進歩し、日帰り手術は可能になりました。当院ではできるだけこの進歩に対応し、より新しい技術を導入するよう努めています。安心して日帰り手術を受けていただけるようにこれからもスタッフ一同で取り組んでまいります。
患者さまご自身が、日帰り手術について十分にご理解いただくことが治療のスタートです。状態に応じた適切な治療法に関するインフォームド・コンセントを行い、ご本人およびご家族の同意のもと、日帰り手術を決定します。
遠方の患者様では手術当日も福岡市内に滞在していただき、翌日診察後にご帰宅いただきます。通常は、術後1~2回は再来をお願いしていますが、遠方の患者さまの場合は、お電話で状態をご連絡頂くか、または必要に応じて院長または当院の専任コーディネーターによる電話訪問を行います。

Q

帰宅後に、気分が悪くなったら、どうすれば良いのですか?

A

当院では24時間体制で、緊急連絡をお受けしています。痛みや発熱など、不安なことがあれば、いつでもご連絡ください。

Q

日帰り手術のメリットは?

A

まず、患者さまのメリットは、入院のわずらわしさがなく、日常生活の延長線上で手術をお受けになれることです。多忙なビジネスマン、OL、自営業の方、小さなお子様やお年寄りを抱えた主婦の方々にとって、拘束時間を短縮できることが大きなメリットです。保険者(社会保険、国民健康保健)のメリットとして、入院費の医療費が削減される分、国が推し進める国民総医療保険料を抑えることが可能となります。クリニック側のメリットは、入院手術と同等の質の医療を、日帰り手術で提供することで、患者様に選んでいただけるクリニックを実現することができます。すなわち、患者様、保険者、医療サイドにメリットがあります。

Q

実際に日帰り手術を受けるには、どうすれば良いのですか?

A

まずは、外来受診をしていただきます(原則として予約制です)。遠方から来院される方の場合、前もってご連絡いただければ、外来受診後の翌日に日帰り手術(当院から徒歩5分以内の提携ホテルに前泊・後泊)を行うことも可能です。
※痔疾患などで状態によっては日帰り手術の不適応な場合があります。したがって遠方の患者様でもまずは外来で診察をした後にその状態に応じた治療法を選択していただき、あらためて手術日をお決めになることをできるだけお勧めします。遠方の患者様では手術当日も福岡市内に滞在していただき、翌日診察後にご帰宅いただきます。福岡近郊の患者様は手術当日にご帰宅して、できるだけ早め(原則として術後1週間以内)に診察いたします。

Q

日帰り手術で帰宅するのは不安で、入院したいのですが?

A

当院は原則として日帰り入院(1日入院;朝入院,夕方までに退院)となり1泊入院ではありません。手術当日の朝入院し、当日の夕方までに退院します。遠方の患者で様は、手術当日の夜にはホテルなどに1泊し、手術翌日の午前中に診察後に帰宅していただきます。基礎疾患や病気の程度により、術後に短期入院が必要なケースでは、手術後に関連病院に転院し、数日間入院していただくこともあります。

Q

遠方から受診したいのですが、可能ですか?

A

当院は福岡市の中心、渡辺通に位置し、福岡空港や博多駅からも地下鉄やタクシーなどをご利用していただければ10~30分で来院できます。当院から徒歩5分以内にある提携ホテルなどに前泊・後泊してください(ホテルのご予約はご自身で行って頂くようお願いします。ご予約時に提携料金をご確認ください)。初診外来翌日に手術、手術後も1泊していただき、翌日午前中に診察して帰宅していただきますので2泊3日になります(福岡までの往復が可能であれば、遠方の患者様でもまずは外来で診察をした後にその状態に応じた治療法を選択していただき、あらためて別の日程で手術日をお決めになることをお勧めします)。遠方の患者様の場合は、手術翌日の診察以後はお電話で術後の状態を確認しています。

Q

外来初診同日に手術を受けることは可能ですか?

A

外来初診は患者様の状態を診察し、手術をご希望されれば、術前検査と日帰り手術の流れを説明いたします。当院では安全管理を重視して、初診当日に手術を行うことはありません(肛門周囲膿瘍切開など同日に処置をする場こともあります)。遠方からご来院の患者様では何度も往復するのは大変ですので、通常は外来受診の翌日午前中に手術を行い、手術当日も1泊し翌日午前中に診察して帰宅していただきます。したがって福岡には初診、手術、翌日再来で合計2泊3日になります。手術前後は当院近くの提携ホテルなどに宿泊していただいています。手術後はお電話やメールで術後の状態を確認させていただければ、遠方の患者様の場合はそれ以後の再来の必要もありません。

Q

手術後に、毎日消毒に通院する必要がありますか?

A

当院で行う手術は、術後に消毒などの創処置は必要ありません。きずが小さいのでカーゼなども必要ありません。早期にシャワー浴、入浴も可能です。

Q

高齢者にも、日帰り手術は可能ですか?

A

特別な基礎疾患がなければ、日帰り手術は可能です。高齢者の場合は、入院により一過性の精神障害や認知症が進行することがあり、日常生活の延長としての日帰り手術のメリットは大きいと思われます。ただし、身の回りの世話をするご家族の方などの協力が不可欠です。おひとり暮らしの高齢者の方には、日帰り手術はお勧めできませんが、手術後の数日間だけでもご家族の方が付き添われたり、随時様子を伺っていただければ日帰り手術は可能と思われます。

Q

手術当日に車の運転はできますか?

A

手術当日は車の運転はできません。公共機関をご利用ください。

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